木曜レジオ

恥の多い人生ですね(達観)

患者かもしれない(仮)第初心

ここに今ぼくがいないこと誰も知らなくて

    そっと教えてあげたくて君を待っている

 

         たま『電車かもしれない』より

 

久しぶりのブログです。四月も半ばを過ぎました。

専攻医になりました、なってしまいました。お察しの方もおられるかもしれませんが、精神科医になりました。

 

精神科専攻医になって

今のところ後悔はないです。とても楽しく、緊張感も持ちつつ目まぐるしく日々が過ぎていきます。

僕は初期研修を精神科病棟のない総合病院で終了しました。何人かの精神科の先生のお世話になりましたが、特にM先生のお世話になり、以下の内容の多くの部分がM先生の受け売りだと思ってください。とはいえ、僕の誤解や記憶違いもあるのでそこはM先生に関係なく、僕自身の誤りであり、精神科医1年目のペーペーが偉そうにネットで書き込んでいるだけの内容であることをご容赦ください。

閑話休題。おそらく精神科医としては精神科の病棟をあまり見ずになる人間は少数派なのではないでしょうか。そんなこともないのかな。少なくとも現時点の同期にはこのような人間はいません。地域研修で単科の精神科研修は行いましたが、それだけではやはり限界があったようにも思います。

なぜこんなブログで自分語りみたいなのを始めたかというと、どこかに僕の「初心」を残しておきたいと思ったからです。そしてできれば今後の学びや経験も。

精神科という仕事について僕はまだ多くを知りません。ですが、僕の直観としても、初期研修でお世話になった先生が言っていたこと一致していたことが一つあります。

精神科医は自分の立ち位置を客観的に評価することが難しい」

自分の治療が適切なのか、それとも思い込みだけで突き進んでいるのか。

最近は、内科における採血検査に該当するような、精神科疾患に関するバイオマーカーや客観的な検査も研究が進んでいるようですが、いまだ科学として発展途上でもあり、内科の採血検査がそうであるように解釈にも難しさがあるのだと思います。

 

そんな中で自分の精神科医としての出発点を記録しておくことは重要であると考えます。それに、精神科医として患者さんのことを書けない以上自分語りするしかないという事情もあります。

あとはまぁ、一応ネット上でのおまじないとして言っておきますが、僕が語る僕のことにはフェイクや欺瞞情報がそこそこ含まれていますのでよろしくお願いします。

では内容に入っていきましよう。

客観視 fly on the wall

さて、自分を客観視する、という話が出ました。精神科で客観視を行うことは難しいと言いつつも重要な事でもあります。そこで僕は師事する先生に相談しました。そこで受けたアドバイスが複数の軸で治療成績を評価する事でした。

軸としては3つ。「初期診断とその後の診断のズレ」「ドロップアウト率」「GAFスコア」を現時点では考えています。

 

診断について。

M先生曰く「知能が高いものが正しい診断に至るわけではない。間違うスピードが速くなるだけだ。より精密にそして論理的に間違う。所謂『難治性』と呼ばれるものの中にはそもそもの診断が誤っているものも多い。治療がうまくいかないときには常に『診断が誤っている可能性を考慮せねばならない』」。

患者を直したければまずは正しく診断する事。当たり前ですけど見過ごしがちなことかもしれません。治療法を知れば知るほどいろいろ試したくなるのでしょうけども、try and errorを繰り返す前に立ち止まり、もう一度最初に立ち返ること。いつでも問い直す準備をしておくこと。それを心がけようと思う。

 

ドロップアウト率について。

入院よりは外来業務の話にはなるのでしょうけども、精神科で治療継続が困難になる原因の一つとしてはドロップアウトがあると思います。ネットでは患者側の問題として語られることが多い気がしますが、我々が精神に向き合うプロである以上、ドロップアウト率を下げることは努力すべきことであると考えます。そのための技法も身に着けるべきであると思います。

 

GAFスコアについて。

これはまだ僕自身正解が見えないのですが、患者の治療効果判定に使える汎用性の高い客観的な指標がないものかと考えています。その一つとしてGAFスコアはある程度使えないものかと考えています。ただ、このスコアの再現性や、有用性に関してまだ何も知らないのであらためて学びたいと思います。また、より有用なものがあればそれを取り入れたいと考えています。

 

これらの軸を通して得られた自分の治療成績と一般的な治療成績・予後を比較して自身のできていることできていないことを評価していきたいです。

 

動機付け面接について。

M先生は動機付け面接についてとてもよく教えてくれました。「一般的な精神医学の知識は正直座学でも身に着けることができるけれども、こればかりは訓練しかない」ということで、面接の技術に関しては、平均よりも指導を受けたのではないかと思います。まぁ僕の元々のコミュニケーションスキルの低さを思えば、プラスマイナス若干プラスくらいなのかもしれませんが。

ただ、患者さんとのコミュニケーションを理論立てて学んだことで、患者さんとのコミュニケーションそのものでどうしたらいいかわからなくなってしまうことはほとんどないような気がします。もちろん経験も浅く、これから困ることは山ほど出てくるでしょうけども。OARSなども含め、とても役立っています。理論に基づく戦略立った会話というものはとても刺激的で、再現性もあるので次回へのフィードバックを行いやすいのも良いですね。なので今後もMIの勉強会があれば積極的に参加したいと考えています。M先生には一緒に勉強する仲間を見つけなさい、と言われましたが、まだ同期になじめていない気がします。だれか仲良くして~!!!!

 

論文に関して。

論文を読まなきゃというのはわかっているんですがどうにも苦手で逃げています。英語も嫌いだし。最近はDEEPLなどの有用な翻訳サービスもありますしガンガンハードルは下がっているのだと思います。であればやはり読むべきでしょう。論文よんでるカッコいい自分を想像して頑張ろうかな。バカなので論文読んでるだけでカッコいいと思ってしまいます。

論文に関してですけどもEBMについても僕は今雰囲気でしか知らないので統計に関しても余裕が出てきたら学びたいです。(精神科の知識も抜けているのにそんな余裕出てくるのか?)

論文をまとめるアプリ的なのもあるらしいですし、デジタルに適応しながら頑張っていきたいと思います。

勉強について。

思っていたより忙しく、勉強の時間をとれていません。これに関してはおそらく僕の時間の使い方がへたくそなのと逃げている部分が多いと思います。僕は初期研修中は精神科の座学よりもどちらかと言えば面接スキルの訓練を重点的に行っていたこともあり、体系的な知識にかなりの抜けがあります。なのでここは是非とも補わなければいけないところ。何とかコンスタントに学んでいきたいと思います。できればこの場で簡単なアウトプットもできたら、と思っています。

 

結び。

ひとまず現時点で残しておきたい「初心」はこんなものです。また思い出した事、思いついたことがあれば追記しますが。まだまだ将来のことは見えていませんが精一杯頑張っていきたいと思います。

 

 

 

2022/04/27追記

タイトルを「心此処に非ず」から「患者かもしれない」に変えました。んーでもしっくりこないなー。あくまで(仮)なのは変わんない。心此処に非ずはカッコつけ過ぎててんー、って感じなんだよなー。

「患者かもしれない」は、ニュアンスとして「今日の私もあなたも、もしかしたらこれからの私とあなたが」というニュアンス、というのは後付けで「電車かもしれない」にかけたかっただけなんですよね。まぁいいや。また気が変わったら変えます。

 

電車かもしれない - song by macaroom, 知久寿焼 | Spotify

社会人になって一ヶ月の間に聞いた言葉

 

さよなら黄金週

ゴールデンウィークも終わりますね。

こないだまで、花見だなんだと言っていたと思ったら軽い熱中症になりかけるような日もあったり。

僕が今住んでいるところは大体山なので季節の変化が視界の変化としてかなり如実に反映されます。

ただの緑だと思っていた山々がグラデーションのように少しづつ色を変えていくのは豪華な砂時計を見ているような気分になります。

国試直前も言ってましたが、時間の流れが早い。

時間の流れはもう絶対的に早い。相対性理論とか知らん。

やるべきことに対して遺されてくる時間が短すぎるし、すきあらば時間を無駄にしてくる自分が最大の障壁すぎる。こんな風に駄文書いてる時間が一番無駄な気もするが、まぁ創造的な趣味として許してもらおう。ごめんね神様。

 

さて、こんな僕ですがこの一ヶ月自分なりには悩んだり試行錯誤したりしました。とはいえそれをこんなところで書いても誰かの参考になるとも思わないし、もっと洗練されたやり方を書いてる人がいるだろう。そこでここにはこの一ヶ月で僕が人から言われたこと、を書いていきたいと思う。その是非はもし読んでくれた人がいればその人が考えて欲しい。

あくまで「個人の感想です」と言うやつだ。さらにその上僕の解釈記憶違いもあるだろうからそれを踏まえて欲しい。

備忘録でもあるし、次の一ヶ月が終わった時、その言葉たちが未来の僕にどう受け止められるのか比べてみたいと言う気持ちがある。

 

「頭を使え」

この言葉は全く別の先生から別々に、だがほぼ同時に頂いた言葉だった。

これだけ言われると言うことは僕がよほど頭使ってなさそうに見えたのだろうかと言う懸念はあるがまぁ実際使ってないし適切なお言葉であったと思う。

僕が「今後どう頑張っていけばいいのか」と言うすごく曖昧な質問をしたところお二方が答えとして提示してくださった言葉だったと思う。

分ける意味もないので、お二人の意見を混ぜたような形で解説しておく。

 

この時期、研修医の先生はどんな本を読んだらいいか何を知れば良いかと言うことを聞きたがったり知りたがったりするが、それは必要に応じて見つかるものだし、このご時世情報源は無限にある。実際に僕たちはそれを運用しなければいけない。実際の臨床の現場で業務をこなして行かなければならない。

だから大切なのは知識をどう使うの、頭を使って自分で考えること。

自分の置かれた状況の認識、そこからとるべき行動、そしてその行動がもたらす結果の予測。

その思考過程の中に知識が入ってくるだけ。

実際に長い医師生活の中で知識はアップデートされたり、使わなくなって忘れるかも知れないが考え続けることが根本に必要なのは変わらない。

そしてその「考える」ことは医療に限らず生活の中で常に試され続けていて、生活そのものが訓練にもなる。そして、極論すればどんな医療を行うかはその人の生き様そのものを反映していくことになる。

常に自身の行動とそれがもたらす結果を考え続けること。

それがチカラになっていく。

 

「今後の伸び代は研修医時代に決まる」

これはカルテについての話の中で言われた言葉だった。

 

僕たち(上級医)のカルテは多分簡素に見えるかも知れないけど、実際には挙げられうるプロブレムリストに対しての考察を行なって低い可能性を除外している。

カルテだけ見ると真っ直ぐな一本道に見えるかも知れないけどそうするために途中で何度も剪定作業を行なっているんだ。

その剪定された可能性を丹念に検証していく訓練を研修医のうちに何度もするかどうかは大きいんじゃないかな。正直個々の疾患については後から学べるからね。

 

「担当患者さんの薬は全部把握しとこうな」

いやこれはもうほんとに、そうですね。と言うかはい、ごめんなさい。

 

「地獄を見た方がいいかも知れないけどな」

うちの病院は基本的に研修医のことをとてもよく見守ってくれる病院で放置プレイみたいになることはない病院です。某感染症に関しても研修医は基本的に関わらないで済むような方向性で守っていただいてるのを日々感じる。そんな病院における当直についての話題で先生から言われた言葉だった。

 

患者さんにとってはいいことなのかも知れないけど、上の先生が研修医の先生たちのことを全力でカバーしてくれてる体制は、研修医の教育という意味では修羅場になりにくいよね。研修医が自分しかいないと言う状況であれば一人でなんとかしようとするしかなくなってその状況の中でついていく力もあるのだろうけど。難しいな。

 

「先生たちは労働者です」

頑張る方向性がまだあまり見えない、と言う相談をしたときに先生に言われた言葉。

 

先生たちは労働者で、もちろん医学的な勉強も必要だけど労働者として「業務」をしないといけない。例えばこれこれの疾患医は〇〇の治療をする、と言うことを「知って」いても、カルテでオーダーできないとそれは「仕事」にはならない。だから、医学の勉強と同時に「業務」として何を意識すべきか考えて欲しい。救急とかだと「するべきだけど手が回ってないこと」を見つけるとかそう言うことをね。空気を読む感じで。

 

「まずは朝・夕に患者さんしっかり見ることかなぁ」

上と同じような質問を別の先生にしたところ帰ってきた答えである。

 

同じ日の中、さらにそれより長い期間の中で患者さんの変化を見て触れて感じれるようになることは大事だと思うよ。

 

それでは5月

まぁこんなものか。

いよいよ「4月だししょうがないね」と言う魔法の言葉が使えなくなりますね。別に今までも使ってはないけれど。

医師一年生の皆さん頑張って生きていきましょう。

周囲の方々には多大なる迷惑をかけていろことと思いますがなんとかやっていきますので今後ともよろしくお願いします。

 

 

医師国家試験をほぼ紙のQBだけで受けた話 後半


いいか、覚えておくといい。学問には王道しかない

——森博嗣『喜嶋先生の静かな世界』

 

 

この記事は前回の  医師国家試験をほぼ紙のQBだけで受けた話 前半 - 木曜の医師国家詩篇  の続きです。

 

前回で取り敢えず去年一年を振り返り、それを踏まえた上で僕なりに動画講座なしにQBだけで勉強することについて書きたいと思います。

受かり方っぽい書き方についついなってしまいましたけど、僕も言うてボーダー層でしかなくて実際これくらいのことしかできなかったけど、これをこうしたらもっと良かったな、という反省の記録です。批判的に読んでもらえれば幸いです。

たいていこういう記事書いてるの頭が良い人なんでそういう人の記事と読み比べて「そんなこと言ってるからダメなんだよなぁ」みたいに読んでください。

また前回も言いましたがこの記事で想定しているのは「去年の僕」「今年落ちた場合の自分」「偏差値が体温以下、足のサイズもなくて臓器別の知識がほぼない人間」です。

それ以外の人は落ちこぼれ医学部生の地獄を覗き見る感じでどうぞ。

 

目次

 

何故動画講座を見なかったのか

そもそも何故動画講座を見なかったのか。

理由は何個かあります。

 

①経済的なもの

すでに留年のための学費という無駄な出費を親に負わせてしまっていた

 

②動画講座での失敗

前回記事にもリンクをのせましたが、僕は一度メックの講座を通年で購入しながら殆ど見ませんでした。サマライズは留年後の暇つぶし的に見てましたが、全然頭に入りませんでした。勿論やる気の問題が大きいのですが、そもそもの話として人の話を聞きながら理解するというマルチタスクが僕はとても苦手で聴くか書くかしか僕は出来ず(それ自体は今後の人生の課題でもあります)、向いてないということもありました。

 

③時間がない

留年して気が抜けて正気に戻ってなんとか勉強やるか、と思ったのが四月の時点です。メックの通年講座など恐らくそこから見ようとしても無理だったと思います。medu4  も実際友人に勧められましたが、上記の経済的理由と苦手意識から回避してしまいました。

 

④舐めてた

舐めてました。医師国家試験と自分のアホさ加減を。

 

QBの良いところ、個人的に良かったと思うQBの使い方

 

取り敢えずまずは良いところから。

 

①全て国試の過去問である

当たり前ですが、過去問のみで構築されています。これについては後で書く回数別のところでも書きますが、国試は本当に過去問が命です。実際に試験を受けてより強くそう思いました。QBで勉強しておけば取り敢えず「国試の勉強」になるのは間違いないです。変に意識高くレジデントノートとかハリソンとか読み出すよりはいいと思います。学力が低い人ほど。

 

②疾患ごとのまとめが割と使える

QBと言えば問題演習だと思うんですが、よく読むと重要な疾患については数ページのまとめが付いており、国試におけるポイントなども解説してあります。個人的にはこれが割と重要でした。

 

③解説に表やまとめがある

似たような疾患、例えば甲状腺が腫大する疾患の鑑別ポイントをまとめた表が解説に載ってます。ほとんどは「病みえ」と同じものだとは思いますが。

これはイヤーノートが1つの疾患を掘り進めていく構成なのに対して横断的なものの見方をできる、痒いところに手が届くものなので良かったです。ただ、まぁこれにも悪いところというか注意点はあるのでそれは後述します。

 

④正答率が載ってる

正答率が載ってるのですが、10%とか20%の問題は解くことなく、解説だけ読んで使えそうな情報だけノートに書き出してました。

 

⑤演習の進め方

よく言われるQBのやり方で、1週目問題だけやる、というのがあります。個人的には微妙かな、と思います。僕みたいになにも知らない人間はそれだけでは疾患のイメージが掴めないからです。かといって全問解くのも愚かだと思います。そこで僕が確立したのは「100回以降の問題だけ解いていく、それ以外のもの、極端に正解率が低いものは解説を軽く読むにとどめる」といった手法でした。

また当たり前の話ですが、解いた時に何故間違ったを考えて走り書きでもいいので後から見れるようにしておくのが大事だと思います。これは国試の問題そのものについて考えたことで後述します。

ですので演習の流れとしては

 

解く

答えを見る

1週目は取り敢えず見て覚える。2週目で覚えてない知らないあやふやなことの中で重要そうなことがあったら(無限にある)ノートに殴り書きで書き出す(この際綺麗なノートを作らないように注意しました。僕はルーズリーフに殴り書きにして後から読んだらギリわかるかな、くらいの感じにしてました)

あまりに知らなさすぎたらイヤーノートを見て勉強する

復習する

 

この最後の復習する、のタームが死ぬほど重要でした。当たり前やんけ、と言われるかもしれないんですけど僕みたいな下位層の人間はそういった「当たり前」ができてないからこのざまなわけです。

僕はQBを1週回した時は3週間後に復習するようにしました。ほとんど解けるようになってませんでした。ビックリしますよ。マジで何も一回目で覚えてねぇんだなってなって絶望します。しかし、そのあとまた1ヶ月2ヶ月経ってから復習するとそこそこ覚えてました。短期間で復習する、というのが本当に大事なんだと思いました。

 

⑥暗記カードを作る

さっきまでの復習の話の続きになりますが、僕は途中からそのノートに書き出した内容をもう一度書いて覚えるのも兼ねて100均で売ってる200枚110円の白紙の名刺カードに殴り書いて暗記カードを作りました。1日で大体50〜60枚作ってました。それを昼休みの散歩でベンチで休憩してる時や、狭い電車に揺られる通学中にやるようにしました。その日のうちに一回、次の日の朝に一回、そこで覚えてたものは捨てて、できなかったものは次の日に持ち越し、そんな風にしました。

これはかなり効きました。

絶望的に知識がなかった僕でしたがこのパルス療法的なやり方が良かったです。

 

演習そのものよりも復習が大事で、

復習は質よりもスパンの短さと回数

です。

 

 ⑦目次を覚える

特に神経とかがそうなんですけど、臓器別が整理できてない人ほど今自分がなんの領域のどういった疾患を勉強しているのかわかるようになるだけでかなり違うと思います。

QBの巻頭の目次は代表的な疾患だけが並んでいて覚えやすかったです。

自分が今どこで何を学んでいるのか

それを自覚しながら進めていくとただ闇雲にやるよりは良いと思います。僕はよかったです。

 

⑧ノート作り

これは僕の悪癖でついついノートを作りたくなるんです。だから、すでに何回か言ったように綺麗なノートを作らないように殴り書きを心がけました。

直前期に小さめのノートを用意して年末から一月中で間違えて覚えきれてない項目をまとめたノートをを作りました。最後の方で紹介する「直前期にやるべきこと」という動画でやっちゃダメと言われてた行為そのものですが正直やって良かったです。やるならもうちょっと前もってやっておくべきでしたね。お守り代わりに持ち歩き、国試当日のバス車内や休憩中のトイレ待ちの間も読んでました。全部見たことあることしか書いてないので精神的に安定しますしね。休憩時間見れるものは少ないのでパッと見れる、というのは大事だと思いました。

 

 

⑨録音

これはノート以上に僕の趣味的要素が強いんですが、苦手な分野についてはセルフ講義をアプリで録音してました。口に出すことで覚えて後から耳で聞けて個人的には良かったです。国試前日の部屋で荷ほどきしてる間とかにも流してました。

 

QBの良くないところ、失敗したなという使い方

 

①演習で満足してしまう

まぁ問題の答えなんて何回かやればなんとなく覚えていくんですよ。なんかわからんけどこれか?みたいな感じで。それで「出来るようになった」ことにしちゃうとガチで詰むと思います。あとは当たり前の話ですが、QBは全てを聞いてはくれません。例えば多発性硬化症についての検査所見について全ての項目についての問題があるわけではないです。だから、QBの多発性硬化症の問題が全問解けるようになったところで、検査所見についての知識には「必ず」抜けがあります。他の疾患も同様ですが。

こういった時、先ほど言及した疾患についてのまとめや表が役に立ちました。泥臭いですが僕はコピーして赤シート用のマーカーで塗りつぶしてチェックできるようにしました。また中々覚えられないことに関しては暗記カードを作って覚えていきました。

それでも足りなさそうなところはイヤーノートでさらに補うことが必要です。

 

②量が多い

多いですほんと。これを最初から一問一問解いていったりしたら破滅するしかないと思います。重くて試験場にも持っていけません。これが怖くて僕はQBの代わりとしてルーズリーフで抜けてる部分のまとめノートを作ってました。

ただ、電子版?を使ってる人ならいらないかもしれないです。

 

③まとめや表を覚えるだけでは意味がない

先程良い点としてあげた表やまとめですが、これを丸暗記しただけでは使い物になりません。実際の臨床問題の中でどんな風に表現されてるのかを理解し拾えるようにならなければ意味がない。

 

ここからはその他の教材についてです。

イヤーノート

僕にとってはQBで不足してると感じた部分をイヤーノートで補った感じです。主には治療法などですね。あと臓器別の治療薬のまとめが章末にあるのですが確認に役立ちます。

 

レビューブックマイナー

マイナーは取り敢えずレビューブックの内容を覚えてそれをQBで演習して覚える、という感じでした。

 

病気が見える

産婦人科はレビューブックもないので「病気が見える」を使い基礎的な学習をしました。ごく初期の四月五月の段階では他のメジャーの勉強でも使いましたが、夏以降使うことは無くなりました。

 

QBオンライン

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僕はQBが貰い物であったことからオンラインの解説が読めず、またアナログ人間であったため利用しませんでした。

 

鑑別1st impression

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これはmediLinks内で無料で手に入るものです。とりあえず鑑別とかなんかよくワカンねぇぜ!という人は見てみたらいいと思います。また、postccオスキー対策にもなります。

 

QC

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これもmediLinks内にある無料サービスで本来選択肢になってるものを⚪︎×形式で聞いてくれるもので、先程僕がいった暗記カードを作る作るのが面倒な人は是非一度みてください。僕はこれの存在を今年の1月に知ったのでもう間に合いませんでしたが、軽い復習としていいものだと思います。覚えてた「つもり」のことを炙り出せます。

 

各種模試との付き合い方

模試、ちゃんと受けて答案提出したのは冬メック だけです。二日間丸々時間を取られるのが嫌でテコム模試は第3回も4回も一日1ブロックのんびり解いてました。採点はまともにしてません。しかしまぁどの模試も復習はほとんどできませんでしたね。復習すると恐ろしく時間かかるんですよね。できてない人ほど復習することが増えて1週間くらい模試受けるのと復習で潰れちゃうかもしれないです。それぐらいヘヴィーです。

模試は出来なかった人ほど復習も大変で、しかも模試の傾向として国試より難しくマイナーな疾患を聞く傾向にあるので基本的なことができてない人が模試の復習を時間をかけてしっかりするメリットはあまりないように感じます。それよりも自分が今やってる基幹教材をつかった臓器別の完成を進めた方がいいと思います。

ある程度出来てる人が穴を確認するとかならいいんでしょうけど、存在自体が穴みたいな僕のような学生は模試は後回しで日々の進捗のプラスアルファとしてなんなら1ヶ月かけてチマチマやるくらいがいいんじゃないかと思います。ただ、僕自身はこんなやり方してないので効果は保証しませんが。

僕自身は、冬メック は適当に答案読んで気になるとこにマーカー引いただけで多分頭にほとんど入ってません。

直前期に公衆衛生と苦手意識のあった産婦人科だけ見直しました。

復習するにしても領域別に復習するのがいいかな、と思いました。

 

回数別  -これが一番大事♩-

 

なんなら何よりもまずこれをすべきです。なにしようか迷って足が止まるくらいなら取り敢えずこれを解けと言いたいです。直前期でも。何故ならこれは国試に出る範囲で国試に出るバランスの問題がまとまったパーフェクトな教材だからです。

まぁ、あまりに古いのはアレでしょうけど。

確かに近年傾向の変化だとかはあるのだと思いますが、

わけわからん模試の復習するくらいなら回数別やる方が絶っっっっ対に価値があります 

、マジで。

110・111・112は回数別解説書が手に入ったので(ゴミから拾った)それで勉強しました。ゴミ箱になかった最新版の113回分はmedu4のデータベースで勉強しました。テキストに比べれば解説そのものはアッサリですが押さえるべきところは抑えてありましたし、よくわかんないとこをイヤーノートとかで調べるのが必要になってくるのはどちらも同じでした。

ただ解くだけではなく、正当の選択肢以外の選択肢についても吟味し理解し必要なら調べることが求められます。

 

国試の問題についての個人的な分析

いやまぁこんなもの僕よりはるかに賢い人たちがしてきてるのでそちらを見ていただくなりしてもらったほうが良いんでしょうけど、せっかくなので言います。言いたいこと全部無責任に言います。

 

まず国試の問題は大きく分けて3つのタイプに分かれます。

 

①覚えてるだけで解ける

②診断を下す

③治療法含む対応の最善をその場で考える

 

①覚えてるだけで解ける

これは公衆衛生の問題とかが代表的でしょうけど知ってるか知ってないかの問題ですね。

そしてこれはQBで演習を積む意味がない問題でもあります。とっととイヤーノートかなにかで確認しましょう。これは僕自身そうなんですけど時間がなくてアホなくせに妙に病態から理解しようとしたりするむきがあるけど語呂合わせでもなんでも良いからとっと覚えろ。頭良さそうな人間のモノマネしてる時間はない。


②診断を下す

これは臨床問題などで所見や検査値を拾い上げて鑑別をあげつつ推理していく奴ですね。賢い人は分かんないですけど僕みたいなアホな人間は鑑別は考えて挙げるもんじゃないと思います。

高齢者で長期間咳してる、と言われたらもう問答無用で結核を「想起する」訳です。取り敢えず想起するだけ想起して否定できるかです。1つのヒントから1つのの疾患を出すんじゃなくてバァ〜っと候補の鑑別を「想起して」そこからあるべき所見や検査値はあるのか、年齢は?性別状況は?ということを考えていきます。そこらへんQBの解説は過程をしっかり書いてくれてるので読み飛ばさずに読んであげてください。


③治療法含む対応の最善をその場で考える

いわゆるワンベストとかいうやつなんですかね。これは知識があること前提で、その上での判断力が求められます。苦手でした。苦手です。僕は所謂常識がないタイプの人間で「みんなと同じ判断を下す」ということが死ぬほど苦手です。

これの克服法は、センター現代文と同じように解くことだと僕は結論づけました。基本的に問題文の中に根拠はあるはずなんです。「作者の気持ちを考えなさい」なんです。僕らの気持ちは聞いてないんです。

常識ない勢 の皆さん、皆さんの「なんとなく」を信じないでください。

英語を読むように、自分の体感とある意味切り離す訓練を積んでください。

上面の言葉に引きずられぬように問題文の言葉を翻訳してください。

 これは訓練です多分。

前回記事で晒した冬メックの成績から僕が伸びた部分があるとせればそこです。

正直知識の伸びはそこまでなかったように思います。必修の伸びは間違いなくそこです。

 

 

予想問題について

僕は今年、予想問題の類は講師速報の無料で貰えるやつしかやってません。

国試って何が出るかといったら極論、心不全と呼吸困難と公衆衛生なわけですよ。それが最高の予想問題です、ほぼ絶対出ますから。

予想問題の新規知識って完全に「当てにいってるのにでない」知識なわけじゃないですか。

そんなの拾う暇があったら自分の知識を固めたほうが良いと無責任に言い放ちます。

 

見ておくべきありがたい無料で観れる動画

 

medu4講師の先生が直前期の勉強について語ってくれます。いかに直前期に時間の余裕がないかわかります。直前期に見ても良いですが、来年受験する人は雰囲気を知るために春のうちに見ておいても良いと思います。

https://youtu.be/fMv9gjmArvQ

 

もしもこの記事を必死に読んでるような人間は実習なぞ真面目に出ていなかったでしょうし、本来なら「実習で見てたら分かる」系の問題対策として息抜きに見るのはアリだと思います。動画自体は111回の国試に向けてのものですが、114回でもこの動画で触れられてた感染性廃棄物かなんかのマークを問う問題は出てたはずです。

★111回直前★手技・器具・装置 - YouTube

 

 

 

結局動画講座なしのQBだけで国試ってなんとかなるの?

長々と語りましたが結論から言えばなると思います。ただしそれはもともと成績が良くて国試というよりUSMLE?とか医学そのもの勉強をしているような人間がやることだと思います。

僕はまとめノートや暗記カードを作りましたが結局それは劣化版medu4やサマライズ、劣化版究極mapでしかないのだと思います。

頭良い人間が作った教材にはきっと勝てません。

ノートなりなんなりを作れば自分用にカスタマイズされた教材は手に入るのですが、それが果たして国試に対して必要十分なのかを証明することができません。

それにここまで読んだ賢明なあなたは既にお気付きでしょうが、こんな風に語る僕自身がQBで足りない部分を他のことでなんとか補おうとしていますよね。

だからありきたりな言葉を僕は身をもって言いたい。

みんなと同じことをしろ。

それに尽きます。

 

 それでも一度始めたのならば

QBにせよなんにせよ、一度コレと決めたのならその教材でやり抜くと決めたのならそれでやり抜くのがきっと大事です。僕たちより賢い人が作った製品なのですから。

 

 

乱筆乱文誠に失礼。

勢いで書き上げたものゆえにちまちま自己満足の加筆をすることと思います。

てか僕も落ちてるかもですしね。時々ふと瞬間冷静になって「いやでもこれ俺落ちてるかもしんねぇよな、こんな調子乗った記事書いてる場合じゃないのでは?」となって部屋の隅で震えています。

その時は一緒に頑張りましょう。

医師国家試験をほぼ紙のQBだけで受けた話 前半

講師速報とみんこれという採点サービスで確かめたところおそらく合格してるだろう、と思われるので漸く国試について語って行きたいと思います。

最初に注意なんですが、この記事は「QBだけで医師国家試験に合格する記事」ではないということです。まだ合格したわけじゃないしね。
結論から言えば、「僕が」QBだけで医師国家試験に挑んだのは愚かな選択だったのだと思います。
この記事は強いて言えば、「なんらかの事情で動画講座を見ることができず、模試の偏差値も体温をブッチギリで切ってる人向け」の記事だと思ってください。
もっと言えば、去年の自分に対するアドバイスというか文句と反省であり備忘録です。
取り敢えず僕自身も頭を整理したいので時系列順に語りたいと思います。

追記
今読み直すと回数別はモリモリ使ってるので動画講座なしの、という意味での紙のQBだけでという話だと思ってください

実際にQBだけで国試で戦えるの?って話は後半の記事でまとめたいと思います。
それだけを読みたい人は後半の記事を待ってくだされば幸いです。

目次

自己紹介

そもそもどんな奴がどんな背景で書いてるのかということを簡単に。
僕は去年の一月、卒業試験に合格したにもかかわらず卒業留年するということになりました。
理由としては常に再試験にかかり続けたり全く反省をせず、「学び」の姿勢が全く身について居らずそんな人間を野に放つことはできないという大学の判断でした。僕自身その判断は全くもって正しいと思い、素直に受け入れています。
2年前の模試の成績は忘れましたが、おそらく全国でもしたから数えて数十人とかだったんじゃないかと思います。あんまり興味なかったです。

追記 2018年の冬メックの成績が出てきたので追加しました


留年以降の一年は2カ月間実習させていただいた以外は大学の自習室で勉強する国浪生みたいな生活でした。
自宅から大学の移動は電車で往復5時間くらいでした。


使った教材

【基幹教材】
友人にもらった2017年度版QB

【体系的な知識のまとめ】
イヤーノートと付属のアトラス
先輩に貰ったマイナーのレビューブック

【回数別】
去年の浪人生が使ってた自習室の床に捨てられてた110・111・112回の回数別
113回の回数別は買うお金がなくてmedu4のDBで代用させていただきました

【参考程度】
病気が見える

冬 1〜3月

僕は前年度はメックの動画講座を取っていましたが、臓器別に関しては1時間も見なかったと思います。卒業留年した後に視聴期限までで観れるギリギリの範囲でサマライズの動画をぼーっと見てました。精神的なこともありほぼ頭に入ってません。
そして2・3月いっぱいで何をしていたかというとなんとサマライズの内容をノートに書き写すという意味のわからんことをしてました。

マジでなんでやねん!!!しかもそのあと見返さなかったし!!!

QB以外のことやっとるやんけと思われるかもしれませんが、このあいだの学びはほぼありません、安心してください。ただの手首の筋トレです。

冬の反省

今思い返すとまず最初に僕がやるべきだったのは臓器別の勉強でした。全く基礎が入っていないのでサマライズを見ても意味がわからず虚無でした。
「病気が見える」とかを通読した方がおそらくましだったでしょう。
まぁ基本的に映画を見たりネットサーフィンしたりダラダラ過ごしてました。

なんも反省してないんかこいつ。

4月

この時期に新たな教材を買うことなく、QBだけで勉強を進めていくことが決定しました。
友人にもらった2017年版のQBとイヤーノートが相棒です。
取り敢えず卒留仲間と話し合って、4月から8月までに(公衆衛生と必修除く)QB一周しようという話になりました。
週に一度ほどの勉強会もしました。ただまぁ、成績不振者だけの勉強会なのでなんとも言えない感じになりましたが、お互いの勉強ペース把握したり誰かと話せるだけでも良かったと思います。

四月に書いた記事 国試勉強始めます - 木曜レジオ

勉強会の記事国試への進捗 ドキッ!留年生だらけの勉強会 単位ポロリもあるよ の巻 - 木曜レジオ

5〜6月 2カ月の実習

2カ月のうち1カ月は地域の病院で実習させていただきました。そこで僕は初めてそこそこ真面目に実習に取り組み、地域の病院で研修するのも良さそう、という感覚になりました。あと元同級生が研修医として働いてる姿を観れたのも良かったです。将来の自分のイメージを持てたというか。
まぁでもここでは実習に追われたり体調崩したりで勉強そのものは進みませんでした。

夏 7〜9月

ここら辺からマッチングなどが始まり、焦りを感じ始めました。僕は昨年度アンマッチだったのもあって恐怖から5病院ほど受けることにしていましたので、かなりそれで精神的時間的なリソースを消費しました。7月中も病院見学などで落ち着きませんでした。
ただ、8月までというのは無理でしたがなんとか9月までにQBの一周目問題とその他気になるところを終わらせました。
間違ったところをルーズリーフに殴り書きで書き出していました。
このとき僕はふとした思いつきで暗記カードを作ることにしました。その日覚えてなかっとことを殴り書きで書き出して一問一答形式で答えるようにしました。これ予想以上に良かったです。お昼の散歩と通学途中の車内で見直すようにしてました。インプットした直後にアウトプットしてみると思った以上になんも覚えてなくて、そりゃあとから復習してもなんも覚えてねぇわ、となりました。ここで復習すること、アウトプットすることの大切さを思い知りました。暗記カードはおそらく最終的に3,000枚くらい作ったと思います。数日後覚えてたものは捨てて、まだ覚えてないものは残して、というように活用してました。

どんどん覚えられてないものが膨らんでいきましたけどね笑
でも確実に知識が増えていく実感はありました。

卒業試験対策 9月中旬〜10月

10月末に卒業試験があったのでそれの対策をすることになるが国試に準じたものを作ると先生方がおっしゃっていたのを信じてQBの2週目をすることにしました。
おそらく1.5月で無理やり一周回しました。
それに加えて110から113回の国試も一度解きました。
卒業留年のトラウマから恐らく国家試験間よりも集中していたと思います。

オスキー 11月

僕の大学では卒業試験後にpost ccオスキーがあり、個人的にはここが大きな転機でした。
ここで僕ははじめて鑑別というものを考えるようになりました。
このオスキー、一応問われる症候とそれに対する疾患の一覧がもらえるんですけどこれが僕くらい頭の整理ができていない人間にはいい整理になりました。
そして疾患を鑑別していく楽しさにも目覚めました。
留年仲間3人で患者の症状と基準値を考えてきて患者役になってそれを何も知らない状態で診察する、ということを何度もやったんですが、これがとてもいい経験になった。
この際mediLinkの鑑別!1st impressionがとてもためになりました。鑑別に苦手意識がある人は是非とも一度ご覧下さい。

12月 冬メック

こんな成績でした。
でもまぁそんな焦りもなかったです。というかそこらへんの感覚が死んでるのでこんな留年とかしてるんでしょうけど。
それにまぁ総論に関してはまだなんとかなりそうで必修はそもそも対策してないしなんとかなるやろというマインドでした。取り敢えず分析した結果まったく文章が読めてなかったので臨床問題の文章の読み方や線の引き方を自分の中で整理して定式化しました。
あと実践としてQBの必修もすることにしました。ここから先は途中で心折れるのが最悪だな、と思っていたので自分の成績とか立ち位置は気にせず(意味がないので)、その日その日をできる範囲で勉強することにしました。

年明けから本番まで

取り敢えず回数別が大切だと思っていたので大学では国試の問題をプリントアウトして本番と同じように鉛筆で線を引きながら解いていく、ということを111・112113をー2週しました。
三年分しかできませんでしたが、それでも12月中頃からはじめてやれない日もあったりで国試の前々日までかかってしまいギリギリでした。
本当は5年分解きたかったです。過去問を解くのと復習するのは予想以上に体力と時間を消費します。
回数別は後生大事にとっておくものじゃないんで国試を受けようと思ったその日にとき始めてもいいかもしれないです。
また回数別と並行してQBにあらかじめ解き直したい問題に付箋を貼っていたのでそれだけを復習しました。
この時期は予想していましたが勉強に嫌気がさしてきて少し気をぬくとすぐに机から逃げそうになりました。そこで僕がすることのしたのは「ながら勉強でも勉強なんや…!」ということでyou tube見ながら勉強してました。
後回しにして中々やらないよりマシだと思ってたので。
先延ばしについての記事僕たちは合理的であるがゆえに先延ばしする、という話 ー動学的非合理性を踏まえてー - 木曜レジオ

見てたチャンネル
ALTER - YouTube

過去問解く間だけは本番想定して見てなかったです。

予想講座の類でやったのは講師速報の予想問題くらいです。
模試の復習はほぼしなかったです。
ただ冬メックの公衆衛生と産婦人科だけは国試の前々日に解き直しました。もっと早くすればよかったです。

本番初日

前日の夜、謎の怪音で眠れなかったこと以外一周回って焦りはなかったです。取り敢えず試験中は眠くてたまらなかったです。何度も意識を失いましたし一周時終わったあと途中で軽く仮眠をとりました。
Aブロックはなんとなく行けた気がしていたのですが、必修が本番ゆえの恐怖かこれは解けたはず、というのが75パーセント。多分いけてる、までふくめると90パーセント、という感じでした。
過去問演習の時はもっと余裕があった気がしてかなり精神と自信を削られました。
こういう自己採点もどきをするなら普段からしておいて実際と自分の手応えの乖離を身につけておけばよかったです。Cブロックはもう本当に眠たさとの戦いでした。眠すぎて問題文を気がつくと読み飛ばしていて何度も冷や汗が出ました。そして試験前に「一番最初の答えが確実なんだから変えないようにしよう」と思ってたのに何個か変えてしまいました。それらが実際あってたのかどうかはまだ確かめていませんが、余裕があれば今後検証します。
また試験の合間にそれほど時間はなく、休み時間にできることはとても限られています。
試験後疲れすぎていて勉強する気は起きませんでした。コクタマは軽くみました。あとはyoutube見てジャンプ漫画の感想記事見て寝ました。
ツイッターもチラ見はしましたがあってるだろうと思ってる問題を間違っていたり、正答率9割越えの問題を間違えてるのを見てしまいました。まぁそんなもんだろうと思っていたので特に気にはしませんでした。

本番2日目

もはや虚無です。疲れと腰痛はピークに達していました。

眠い眠い眠い眠い眠い眠い眠い

それがひたすらキツかったです。試験中の記憶はほぼありません。Eブロックは前日の必修が微妙だったのでなんとか取り返そうとしたのですが確実に行けたと思えたものは前日と同じ75パーセントでした。メンタルもやや崩壊してきており、Fブロックでは何度も見直しと回答の吟味を開いてしまいました。しかし実際集中力も低下してきており問題文の読み飛ばしも多発しておりここに関しては致し方なかったと思います。試験後に変えなきゃよかったと言うのも多発して鬱々しましたが。

結果


こんな感じでした。禁忌は踏んでないそうです。直前期に過去問解いてた感じと大差ない感じになりました。

後半はこちら
structural-alien.hatenablog.com

僕たちは合理的であるがゆえに先延ばしする、という話 ー動学的非合理性を踏まえてー

 

さて今日は色んな記事シリーズごっちゃ混ぜで行こうと思う。

「意思決定理論入門」の読書日記でもあるし、「留年と意思決定理論」の並列怪論でもあるし、進捗報告でもある。

前回の並列怪論  女性医師とフェルマーの最終定理 - 木曜の医師国家詩篇

前回の読書日記  読書日記1冊目 オカルティズム 非理性のヨーロッパ その1 - 木曜の医師国家詩篇

そんなまとまりのない日記ですが暇ならどうぞ。

目次

先延ばし癖

国試に向けて頑張らねばと思いつつ、ついサボりグセが出てきてしまう。30分後に勉強始めよう。そしてそのまた30分後ににはあと30分だけ、そんなことを繰り返して無限に時間が溶けていく。

所謂「先延ばし癖」である。

僕の場合ひどい時はこの先延ばし癖で、13時開始の追試験当日の朝9時から勉強する羽目になったことがある。そして留年した。

どうにかしなければ割とまずい性質のものである。

僕自身の解釈モデルとしては、おそらく僕には診断がつかない程度の「ADHD」的な傾向があり、それによるもの、としている。とはいえこのままでは何も解決しない。診断自体は解決にはならないからだ。人によってはそれはただ単なる「怠惰」だというであろう。それも少なくとも僕に限れば間違いではないと思う。どちらにせよ現象に名前がついただけである。解決を求めるなら、さらに自分のままならなさに向き合わねばなるまい。

意思決定理論

今現在、大学図書館で以下の本を借りて読み進めている。留年による学費という無駄な出費を少しでも有意義にしようという悪あがきで借りてみた。 

意思決定理論入門

意思決定理論入門

 

 

 

予想してた以上にゴリゴリに統計学の本であった。

人間の意思決定という複雑なものを定式化していく様はとても難しいが興奮を伴う。一時期経済学にはまったのもこれと同じ美しさを感じたからだろう。

 

その例がプロスペクト理論である。

以下野村證券の用語集より引用

プロスペクト理論|証券用語解説集|野村證券

プロスペクト理論(ぷろすぺくとりろん)
分類:経済
プロスペクトとは英語のProspectのことであり、期待や予想、見込みなどのニュアンスを持つ。プロスペクト理論はリスクを伴う状況下での判断分析として、米カーネマン氏らが1979年に公表した論文のタイトル名。

プロスペクト理論により、従来の投資効用理論では説明のつかない投資家の判断行動が現実に即した形で解明された。例えば、投資家は収益よりも損失の方に敏感に反応し、収益が出ている場合は損失回避的な利益確定に走りやすい。一方、損失が出ている場合はそれを取り戻そうとしてより大きなリスクを取るような投資判断を行いやすいとされる。

プロスペクト理論は行動ファイナンス行動経済学と呼ばれる心理学の要素を応用した新たな経済学の分野を切り開いたとして、同氏は2002年のノーベル経済学賞を受賞している。

 言葉で表すとなんかわかったようなわからんような感じになるが本書ではそこら変を胃もたれしない程度に数式やグラフで表現してくれているので読んでみてほしい。

 

 動学的非整合性

さて、今回話題にしたいのは「動学的非整合性」である。

まずは貴方の「合理性」を試すこちらの問題を考えてほしい

 

意思決定論入門  p55より引用

あなたは次の2つを比較する

ⅰ.a. 今日1000円もらうb. 今日から1週間後に1200円もらう

 

一方,あなたは次の2つを比較する.

ⅱ.  a. 今日から50週間後に1000円もらうb. 今日から51週間後に1200円もらう

ⅰの今日か1週間後かの問題で貴方はどちらを選んだだろうか?そのどちらでも理由をもって選んだのであればそれは貴方にとって「合理的」な選択である。問題はそこではない。

ⅰの問題とⅱの50週後の問題とで、どちらもaもしくはbを選んだかどうかが問題である。

 

ⅰの問題に対しては多くの人がaを選ぶという。対してⅱの問題においては多くの人が「50週以上後のことなら同じだし多くもらえる方もらうべきだろう」と考えbを選ぶのである。だがしかし、もしも50週間後にもう一度選択のチャンスがあれどうだろうか?「あれから50週間経ちましたが今日貰いますか?1週間後にしますか?」そう問われればⅰでaを選んだ人は再びaという選択肢に(50週間後の今日もらうことに)変更することになるだろう。一度下した決定を、このように翻してしまう。これが「動学的非整合性」であるらしい。

 

いつ勉強するのか

ここで冒頭の先延ばし癖の話に戻る。

 

なぜ今しないことを30分後の自分がおこなうと考えるのか。

「30分後勉強しますか?」という問いは、30分後の自分からすれば結局「今勉強しますか?」という問いに他ならないのである。

 

今しない人間は、30分後も当然しないのである。

 

勿論、大きく状況が変わるならするかもしれない。だがしかし、30分という時間が経過するだけであれば、たいして状況は変わらない。そうすると「今はしないけど30分後の自分はするはず」と考えることはある種の「動学的非整合性」なのではないか?

 

つまり一度下した判断に再現性があり、一貫性があるという意味で「先延ばしは合理的」なのである。

 

僕たちは合理的であるがゆえに延々と先延ばしをするのではないか?

つまり僕たちを救うのは「合理性ではない」。

 

そもそもの問題設定に誤りがあるのだ。狂った仮定の元にロジックを代入しても出力されるものは狂ったものにしかならない。

 

今勉強するかどうかが問題なのではない、勉強をするかしないか、それだけなのである。

そしてそうであるなら、(今度こそ合理的に考えれば)やるべきタイミングは「今」しかないのである。

 

いつだって今しかない。

 

この気づき程度で僕の怠惰がどうにかなるとは思わないが、解決の糸口になるのではないか、とそう思った。

少なくとも今まで頭の片隅にあった合理性やコスパなんか糞食らえという気持ちになった。

いいからやれ、それだけだ。

女性医師とフェルマーの最終定理

夏、マッチング

夏ですね。六年生の僕的にはマッチングの季節。そんな中、小論文対策で医療にまつわることなどをやはり改めて考えることになる。そういう意味でマッチングはいい機会でかもしれない。医学生に真面目に医療について考えさせる契機になると言うか。そこで少し考えたことを久しぶりのその2つは並べんだろっってのを敢えて並べる「並列怪論」の記事として書き散らしてみる。

前回の並列怪論

マウントと占い師 - 木曜の医師国家詩篇

 

今回のお題は300年の長きにわたり証明されなかったフェルマーの最終定理と未だその解決の糸口が見えぬ女性医師に絡んだ問題である。

女性医師

ツイッターの医療関係者界隈で度々話題になるのが、女性医師の出産とその負担が男性医師含むその他のひとに負わされる話だ。女性医師より男性医師を増やせ、という話にもつながってくる話でもあるようだ。男女平等の考えに基づけば医師になりやすさに男女差があるべきではないだろう。だが必要である、という勢力も一定数いる。この2つの対立する立場が和解する道はあるのか。

 

アンドリュー・ワイルズ

さてフェルマーの最終定理の事はもちろん聞いたことはあるだろう。僕もその中身はよく知らないが存在は知っている。高校生の頃、若干背伸びして数学関係の書籍を意味もわからずに読んでいた時期があった。カッコつけだったのだ。自慢する友人もいなかったが。だってかっこいいじゃん、最終定理。

 

 (確かこの本だった)

その中でフェルマーの最終定理に挑んだ人たちの本も読んだ。その内容のほとんどは忘れてしまったが日本人もその解決に関わっていたというのは意外だったので覚えている。確かその本の冒頭でフェルマーの最終定理を証明したアンドリュー・ワイルズについての話が紹介されていた。彼は一度証明を間違えた。大々的に証明したと発表した後、彼の証明にたったひとつ、しかし致命的な欠陥があることが示されたのだ。ワイルズは当然再証明をすることになる。その時の彼を例えた一節が確かこんな風に描かれていた。

 

彼は四角い部屋に、三角形のカーペットを隙間なく敷こうとしているかのようであった。ひと隅を寄せれば他の隅が空いてくる。それを何度も繰り返す。そんな作業を続けていた。

 

足りないカーペット

僕が思うに、雑に言えば人類の半分を占める女性が選択の余地があるとはいえ、取りうる行動のひとつを想定していないかのようなシステムがそもそもおかしい。現在の少なくないシステムが永らく男性社会の中で構築されてきたものを援用してるにすぎないことに我々はもっと自覚的であるべきではないか。とは言え、問題はそこではないと思う。

 

ぶっちゃけた話単純に医者が足りない。もっと言うととっくの昔にこの国の医療は破綻していてその崩壊の中を止まることもできずに走り付けているだけなのではないか。

 

正直なところ、政府の人間は医療の最大の利用者で患者である高齢者が寿命で消えるまで逃げ越せればいいと思ってるんじゃないかと思ってしまう。そこまで崩壊させながらも走らせ続けられればそこから再建するつもりなんじゃないかと勘ぐっている。

 

医療におけるカーペットはあまりに小さく無理矢理に広げようとしてすでに張り裂けている。そんな状況の中で犠牲になるのが「まだこの世に影も形も生まれてもいない赤ちゃん」という最大の弱者なのではないのか。などということを思う。

 

ワイルズは最終的にかつて諦めたアイデアを再び拾い上げることで証明を完成させた。全く新しい何かをしたわけではない。医療にまつわる問題の解決もまた、きっと劇的ではない。