木曜レジオ

恥の多い人生ですね(達観)

モアナと伝説の海 感想

以下は大昔「モアナ十伝説の海」を見た直後の僕が書いた感想をコピペしてきたモノである

せっかくなのでこの再放送される機会に見てみるかと引っ張り出してきたもな

 

 

0.これこそが神話的世界なのだ

モアナの生まれ育った島、サンゴ礁の向こうへは「伝統として」いってはいけないことになっている

サンゴ礁のその先、そこは神話の世界だった

魔物たちが蠢く世界
悪霊の大群のような海賊
意志を持ったマグマの荒神
人に火やココナッツを与えた英雄神マウイ

この映画のお気に入りポイントを幾つかあげようと思う

1.アエン


魔物の世界に仮面の化け物が出てくるのだがそれが諸星大二郎の漫画「マッドメン」に出てくる悪霊アエンにそっくりなのだ
そこで確信したのだ、これは古代神話の世界なのだと
マッドメンのアエンと言うよりは同じ仮面の資料を基にしたと考えたほうが良いのだろうが、この映画の制作サイドにマッドメンを知る人物がいたのでは、と邪推してしまう

2.神話的ダイナミズム


お話自体はかなり壮大で、世界の破滅救うお話だ
学問的な話をすればマウイという神、半神半人は「トリックスター」と呼ばれる状況によっては善なるもの、悪なるものになる神話世界そのものを動かす存在だ
各地の神話に「トリックスター」は存在し、日本だとスサノオノミコトがそれにあたる
モアナの立ち位置は天の岩戸にこもったアマテラスをみちびきだすような感じに近い
ある種の巫女である

3.先祖


モアナの父親は「伝統」だからサンゴ礁の向こうへは行くな、という
しかし後半、モアナたちの祖先は海洋を渡り旅した民族であることが明かされ、「真の伝統」は海を渡り旅することだ明かされる
これは皮肉だろうと僕は思った
僕たちが普段軽々しく口にする伝統などと言うものはとても短いスパンの話で、本当に元をたどればそんなものは逆転してしまうのだ

4.神の二面性


マウイがトリックスターであり、善なるもの悪なるものどちらにもなる、という話はしたが、マウイが心を奪い、溶岩の怒れる神となった地母神はまさに二面性を持つ、神道で言う所の和魂、荒魂的な存在なのだ

以上のことからこの映画の制作者たちは多神教的世界のことをかなり深いレベルで理解しているのではないかと思った
これをアメリカの会社が作ったということがある意味悔しいし、最高の神話世界を見せてもらえて良かった
神の釣り針も良いデザインだったしマウイの自然に刻まれる刺青も神話的雰囲気作りに寄与していた

とても良い映画だったもな