木曜レジオ

恥の多い人生ですね(達観)

だんごむし

夏になると思い出す。
親の手伝いで草むしりをよくした。裏庭で趣味の家庭菜園を親はよくしていたのだが、そこは熊笹に侵略されており、定期的に毟らないと土が固まってしまうのだ。熊笹は厄介で、網のように張り巡らされた地下茎のせいで土ごと掘り返さないと除去することができない。
腰も痛くなるし、軍手から染み込んだ泥が爪の間に溜まってくる。
家の近くには淀んだため池があって、そこから蚊が無限に湧いて出てくる。
蚊取り線香を貰いはするのだが正直そんなに効果はなかった。
土を掘り返し、石をひっくり返す度にダンゴムシがうぞうぞと出てくる。
草むしりに嫌気がさした僕はダンゴムシを捕まえて蚊取り線香の上に乗せる。
突然の移動に困惑した彼らは蚊取り線香の上を歩き始める。渦巻きの中心に向かうものはそのまま支えを伝って、下の受け皿に降りてやがては土の中に帰ってゆく。
しかし、時折渦巻きの外側に向かって行くものがある。彼らは困惑しながらもどんどんと渦の外側に向かってゆき、やがてもうもうと煙をあげる発火点へと辿り着く。火種に触れた彼らの体は急速に白くなりクシャクシャと縮んでゆく。
その様を眺めることがよくあった。
彼らが歩んだグルグルとした緑の道のことを時々思い出す。