木曜レジオ

恥の多い人生ですね(達観)

患者かもしれない第9心 読書記録 7冊目「精神病というこころ」

つぎはぎの僕らは

ふとした時に入れ替わるのさ

近づけば誰かを傷つけるから触れることもできず

 

                 パスピエ「影たちぬ」より

 

はい7冊目。

前回はこちら

 

structural-alien.hatenablog.com

 

月に一回当直業務をしている先の先生に「精神病理にも少し興味がある」という話をしたら貸してくださった本がこちら。

 

 

初版は2000年というところで、20年以上前の本であることを踏まえたうえで読まなければとは思ったうえで読んでみた。

 

目次

 

概要

以下Amazonの説明欄から引用

 

精神科臨床あるいは精神保健に関連した領域、また教育や福祉、カウンセリング、さらには司法に携わる方々、そしていうまでもなく患っておられる当人やその御家族など周囲の方々ならまずもって、この精神病状態というこころのありかたに出会うはずです。これを理解するための糸口を提供し、無用の不安や戸惑いなしに対応するための心の準備をお手伝いすること、それを本書は目指しています。

 

 目次

第1章:精神病という状態 第2章:移り変わり行く不安 第3章:自分がなくなる恐怖第4章:生々しい怯えとの格闘 第5章:壊れていくこころ、そして悲しみ 補章:精神病状態への心理療法的アプローチ

 

対象読者

統合失調症患者、それも入院を要するような患者とかかわる医師がメインと思われる。日常的なふれあいの場面への言及もあることから看護者も念頭にはあるものと思われる。

 

骨太度

タイトルのいかめしさと比較すると案外平易な内容。いかにも精神病理だなーという話もちらちら出てくるが。


読んだ目的

おすすめされたので。そして興味もあったから。


感想

冒頭でも書いたように、20年以上前の本である。と同時に精神病理の本でもあり、それって本当に「そう」である証拠とかあるのか?という疑問が常に読みながらも付きまとった。だが、患者の内面という確認しようがないものへの言及であるがゆえに20年まえのものでありながら、古臭くなるわけではないと思われる。一つの解釈、説明体系として、精神病理学はおそらく有用なものなのだろうと感じた。「投射」の概念は以前から知っていたが、がっつり精神病理的な文脈で語られるのを見るのは初めてだったので学べるいい機会を得られたと思った。

不安の変容という視点から統合失調症の経過過程を描出しているのは、ある種、血の通った描写に思えた。

 

 フック

こういう系統の本にありがちなのか、生の患者との会話が描かれているのがありがたい

。またその問答の背後にある意図も描かれているのがモデルケースとして参考になった。【p166-171のあたり】これは、以前紹介した、「精神療法の第一歩」もそうだった。


 僕にとって想定される本書の内容を使う場面

こう、臨床ですぐに使えるなにかまとまった知識が得られる類の本ではない気がするが、精神病理的な見方、あり方があるということをそこまで肩肘張らずに知れるのはいいのではないだろうか。

 

 

影たちぬ - song and lyrics by PASSEPIED | Spotify