木曜レジオ

恥の多い人生ですね(達観)

患者かもしれない第5心 読書記録3冊目「診察室の陰性感情」

良い人ぶってる自分の姿が何だかあいつみたいでした

八つ裂きにでもしてやりたいのは、本当はこっちみたい      Peg 「夜になったら耿十八は」より

ふー、1週間が早すぎる。 雨が降ったりじめじめしたりと何処となく夏が近づいてきましたね。 読書記録3冊目。前回はこちら患者かもしれない 第3心 読書録2冊目 大人の発達障害診療マニュアル - 木曜レジオ 読んだのはこちら 診察室の陰性感情 加藤温 著 診察室の陰性感情

概略

以下Amazonより引用

医療現場における陰性感情の成り立ちから対処法まで解説。

医師が患者に対して陰性感情を覚える瞬間はあらゆる場面に存在し、陰性感情が生じることにより、その場は硬直し、診療へ悪影響を及ぼしてしまいます。

本書では医療現場、特に外来診療で発生する陰性感情の成り立ちから対処法、そもそも陰性感情を生じさせないためのテクニックについて解説しています。 1章から5章までは総論として、感情の成り立ちから精神科医特有のスタンス、話の聞き方等を解説し、6章では各論として個別症例毎に生じやすい陰性感情について解説します。また応用編として7章では対患者ではなくチーム医療で生じる陰性感情への対象方を解説します。

外来診療や医療現場で陰性感情が生じることが多いと感じている方、またこれから外来診療へ携わる方は是非、本書を手に取ってみてください。 きっと自身の診療スタイルを見直すきっかけになると思います。

目次

はじめに

第1章 感情について 1.感情とは 2.感情の成り立ち 3.感情の特性 第2章 医療現場における陰性感情 1.診察場面で起きていること―陰性感情の発生― 2. 陰性感情があると何が問題なのか 3.いわゆる「難しい患者」とは 第3章 精神科医のスタンスと診療 1.精神科医と一般科医の違い 2.精神科医の患者の診かた 第4章 話の聴き方の基本 1.傾聴・受容・共感とは 2.話を聴く際のポイント 第5章 陰性感情をどうしたらよいのか 1.精神分析と転移 2.逆転移と陰性感情 3.陰性感情が生じる3パターン 4.陰性感情にいかに対応するか 第6章 各論 1.幻覚・妄想 2.うつ病 3.身体症状へのこだわり 4.パニック障害 5.アルコール関連問題 6.発達障害 7.パーソナリティ障害 8.自殺念慮のある患者 9.怒っている患者 10.話が長い患者 11.いろいろと「詳しい」患者 第7章 チーム医療における陰性感情 1「.信念対立」という考え方 2.オープンダイアローグからみるチーム医療 3.多元主義の有用性

対象読者

精神科医に限らない医師全般ですね。しかも、冒頭を読む限りビギナーとベテランどちらも対象にしているようです。実際そもそもの話の聞き方にはじまり、今まで無意識にしていたことを意識化することができると思われます。 救急や内科外来で出会うであろう精神疾患患者への「ありがちな」陰性感情についてもよく触れられています。

読んだ目的

ぶっちゃけジャケ買いの要素も強いです。めちゃデザイン良くないですか?勿論それだけではなくて、「陰性感情」というよく聞く単語をかなり無造作に使ってるなーと思い、またこの概念に絞った本というのが面白いと感じて読むことにしました。

感想

恐ろしく読みやすかったです。悪戯に小難しい書き方をするわけでもなく、それだけではなくて読み応えのある内容でした。 陰性感情についてひたすら書かれている本ではあるのですけれど、医師に陰性感情が出てくる原因の一つとして、「知らないこと」を筆者が取り上げます。それゆえに、陰性感情を煽る主訴についての丁寧かつわかりやすい解説がされているのがこの本の素晴らしい点だと思います。 例えば幻覚や妄想についての簡潔かつ明快な解説があり、僕は妄想についてかなり曖昧な理解をしていたのだな、と冷や汗が出ました。わかったつもりの概念についてきっちりと言語化するのは大切ですね。 改めて勉強の必要性を感じました。 精神科医になろうと思ってるわけでもないけど、ちょっと興味ある人、みたいな人にとってもかなり良い入門書なのではないでしょうか。

僕にとって想定される本書の内容を使う場面

陰性感情そのものはおそらく医師であればずっと付き合わねばならないものだと思います。なので、使う場面はかなり多いと思います。 この本をきっかけに精神科でよく使う単語の正しい定義を勉強しようと思いました。

夜になったら耿十八は - song and lyrics by Peg | Spotify