木曜レジオ

恥の多い人生ですね(達観)

餅を食った話

元旦です。
新年あけましておめでとうございます。

元旦といえばお雑煮ですよね。
もく山の実家でも元旦はお雑煮で焼いた餅が出てきました。でも、僕は餅が嫌いなんですよね。なんでかはわからないんですけど子供の頃から餅が嫌いで、正月は朝からテンションが下がるイベントでした。
大学生になり、一人暮らしをしてからは元旦の朝に餅を食べることはなくなりました。
元々僕は、餅含め、餡子や抹茶など所謂和菓子的なモノが苦手で、ずっと避けていました。とはいえ京都で大学生をするにあたりちょっとでも慣れようと和菓子を少しずつ食べるうちに餡子や饅頭の薄皮は割と克服した、というよりなんなら好きになってきました。それでも、本能的に餅は避け続けてきました。

しかし、去年の暮れの2020年12月31日の夜のスーパーで僕は切り餅に出会いました。
生そばを買って、ふと視線を上げるとそこにあったのです。
これも何かの縁かと思い僕は餅を買うことにしました。


さて、元旦の朝。
爽やかな朝です。雪が降り積り深々とした空気を吸いながらの爽やかな目覚め。
にんじんや小松菜、百合根、株などを予め湯掻いておいたものを準備しておきました。
そして切り餅を袋から取り出しオーブントースターにぶち込みます。
徐々に膨らんでくる切り餅たち。
最初は真四角だった彼らも少しずつモゾモゾと動き始めてぷっくりしてきます。なんだか可愛い。
ふふ。
思わず笑みが溢れます。こんな可愛い奴らのことをなんだって俺は嫌っていたのだろう。

そうして野菜たっぷりのお汁に餅をぶち込みます。
まずは汁をひと啜り。
うん、あったかい。
そして少しくたっとした小松菜を齧る。
優しい味だ。
そしていよいよ餅を汁に浸してから口に運ぶ。
どんな味なんだろう。

餅を、ゆっくりと噛み締める。
その時、感じたのは、込み上げてきたのは、もはや味覚ではなかった。


憎しみであった。


食物とは思えぬヌベッとした食感。
妙に舌にまとわりつく澱粉の気怠げな雑な絡み。
口の中に溢れ出す、あの米独特の臭み。
胃袋の中に追いやってなお己が存在を主張する異様な腹持ち。

これだけの、これだけのお膳立てをして、これだけ俺はお前のことを受け入れようとしたのに、この始末。

最早俺と餅とはわかり合うことはない。

そのことを、この時僕は確信しました。