「サロンド脳」に行ってみた
サロンド脳、というものをご存知だろうか?
ご存知だろうかなどと言いながら僕も人づてに聞いて参加してみたにすぎないものなのでアレなのだけれど。
京大の中堅、若手の研究者が中心となって神経科学に関する喧々諤々の討論を行う場、みたいなものらしい
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先日2/22日、僕は京大の先端科学研究棟なる建物に侵入し、このサロンを体感したのだ。これは、その感想記事である。記憶と断片的なメモを頼りに書くのであくまでその不正確さを念頭においてほしい。具体的な内容については僕があやふな記憶を披露するよりものちに紹介する本などを読んだ方がいいのだと思う。なので空気感を伝えることに努める。
目次
きっかけ
普段僕は大学の講義すらまともに聞いていないクソ学生な訳だが、まぁ今回留年したこともあり、「能動的に学ぶ」ということを考えた結果自分の興味のありそうなこのサロンの情報を嗅ぎつけ、よくわからないままに事前知識も一切なく勢いで参加したわけである。
ぶっちゃけ最初「サロンド脳」という名前聞いたときは失礼ながら胡散クセェ!と思った。 ちうかどんなセンスなんだ、と思ったのはここだけの話。
テーマは
アナリシス・バイ・シンセシスによる意識への挑戦 - 20年後の意識のアップロードに向けて -
「意識」は高校時代仏教哲学を拗らせて以来、僕にとって比較的大きな関心ごとの1つであり続けていた。
会場
会場となった建物の入り口にはこんなポスターが簡素に貼ってあるだけだった。
会場は50人は入れるくらいのセミナー室で行われた。 全くの部外者である僕はひたすら息を潜めていた。周りに座ったのはどうやら京大の若手研究者の方たちのようで最近の研究についての会話が僕たちにとっての世間話のように行われていて、ここが国内有数の最先端の研究が行われる大学であることを思い知らされた。
開始直前には会場は満員近くになっていたと思う。
サロンド脳
サロンド脳の前身となったセミナーが存在したらしく、当時関わっていた先生からのメッセージが最初に紹介されこのようなことが言われていた。
昨今の日本ではチャレンジする人間を温かく応援することをよしとする風潮があるが、それは果たして本当に優しさなのだろうか?彼らはそのチャレンジがうまくいかなくなった時助けてくれるのだろうか、否である。であるならば、真の優しさとはチャレンジしようとするものを徹底的に批判に晒すことである!この場がそのような活発な討論の場となることを期待する
やべぇ!戦闘民族の巣みたいなとこに来てしまった!!!と思った。
そして、今回の講師である渡辺正峰 先生(東大・Max Planck Institute)が登場された。
温和そうな方だったがそれ以上に知性のきらめきや頭の良さを感じさせる雰囲気で勝手になるほど、などとなっていた。
- 作者: 渡辺正峰
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渡辺先生が出されたこの本、僕は現在未読なのだが、この本に書かれていた内容をおそらく中心に講演されていたのだとおそらく思われる。
まず最初に、「意識」の定義から始まるのだが、それを示す実験からもう専門用語のオンパレードで事前知識が一切ない僕は絶望しかけたのだが、幹事の先生がとても上手に誘導してくださり、初心者に向けた解説も立ち止まって渡部先生がしてくださったこともあり、なんとかついていけた(と思っている)。そして開始して間も無く客席から次々と飛んでくる鋭い質問や疑問の数々。(は、始まりよった!これが学会とかで行われる血祭りみたいな質問攻撃か!病院のカンファレンスなんか可愛いもんやったんや!!)などと怯えながれ聞いていた。とはいえ慣れてくると、これこそがアカデミックな研究の場での意見交換や議論であり、僕が今まで医学部とう狭い世界で吸っていた空気と全く違い、新鮮だった。 話は、意識の定義から始まり、その研究のアプローチ法とその問題点。そして、いかにして「意識を科学の土俵に引きずり出すか」という話へと移っていった。 ただ、あまりに質問や意見交換が白熱し、本来30分で終わらせるはずの本論に入る前の「枕」であるはずの内容が100分かかる事態になるなどもあり、ここに至るまでの過程にも最先端の研究である以上議論の余地が無限に広がっているのだと、僕はただただ圧倒されていた。
そして、本論に入ってからは今後の展望についての話になり、分離脳の話、脳を機械に置き換えていく思考実験、人工知能などの話題が次々と出てきて、最後にそれらを統合して渡部先生が何を伝えたかったのか分かる構成になっていた。 まさしく講演のテーマどおり、今後の20年を見据えた野心的な話であった。夢や熱意、野望のある話であり、僕も胸が熱くなった。 3時間、まったく退屈しなかった。
まとめ
臨床医学というある意味エンジニア的なテクニカルな世界ではなくてもっと最前線の研究者たちの熱気を感じることができた。 普段狭い世界に閉じこもっていた僕だが、これからはこんな場にもチラチラ出ていこうかな、と思った。
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